分子を組織化して機能を開拓する化学

「分子化学」から「分子組織化学」へ

今まで化学の進展により、個々の分子の合成法、さらにそれらの分子の電子構造に基づく物性や反応性が系統的に体系化されてきました。一方、生体分子システムに目を転じると、個々の分子がそれぞれ独立して機能するだけではなく、多種・多数の分子を組み合わせて組織化することにより新たな組織構造や電子系を獲得し、長距離に及ぶエネルギーの高速な伝搬や変換、超効率的な化学変換、スケールギャップを超えた運動など、高い機能を発現しています。このように、分子が組織化することにより、個々の分子の持つ性質や、その単純な足し合わせを飛び越えて、全く新しい機能が生まれる可能性があります。この分子組織機能は、分子間の組み合わせ方(種類・数・距離・角度・配列・運動)によって大きく異なるため、分子組織を構築する上でのデザインと、それを実現するための方法論の開発が重要です。我々は、分子間の関係性の無限の組み合わせを巧みに操ることにより、分子組織機能を創出することを目指しています。

ナノからマクロへつながる分子組織
精密な分子組織
動く分子組織
反応する分子組織